2002.04.16

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photo and text : Sato Jun Ichi
●南風の強い日だった●先日来、特に何かを意図したわけでもないのだが、かつて訪れた水門をもう一度、見て歩きたいということになった。それもとりわけ大物を見てみたいという思いが強い。デジタルカメラひとつ持って身軽に堤防を歩き、水門の数だけがいたずらに増えていった数年前の撮影行の中で、ゆっくりと対峙できなかった大水門をもう一度目にしたい●今度はその都度、いちいち三脚を立てて、時間をかけてレンズを向ける。撮影中は何も考えることはない。対岸にある凄まじく巨大なドアを撮影するために坦々と操作をしているだけ、という状態。10分かけて店を広げ、0.5秒で露光を終え、5分で店をたたむ。それがひたすら繰り返されるだけだ●堤防上は歩くのに困るほどの強風が吹いているが、下に降りてくると風は弱まった。キジ打ちスタイルで草むらの中に入り込み、三脚の足を伸ばさない状態でカメラをセットする。これで強風が蛇腹を揺さぶってブレる心配もないだろう。時折、雨滴も飛んできて何だか情けないが、寒くないだけマシというものである。