埋 没 す る 日 常

【1998年1月】





1998/1/26

●先週の木曜の朝、腰をひねってしまって以来まともに歩けない。半ば腰を曲げ気味にしてゆっくり歩いていたのだが今日は大分良くなった。。。なんて書くと年寄りみたいだなーこりゃ。ねじれた姿勢で寒い部屋で本を読んでいたのがいけなかったのか。その前日の水曜日、久々に撮影道具フル装備で満員電車に乗って揉まれたのがいけなかったのか。とにかく「ツイストぎっくり腰(笑)」状態に陥ってしまった。30代半ばでこんなナサケナイことでは先が思いやられるわけだが、直立二本足歩行というのは人類の大変な偉業であったことをなんだか再認識した。重力に逆らって立ち上がる意思、というものを原人の連中は持っていたのだなあ。



1998/1/12

●以前から、全文検索型の検索サーバの存在が気になっていた。自分で使うのも面白いのだけど、その検索サーバをたどって自分のページに来てくれる人の行動パターンを知りたいと思っていた。具体的に言うと、どのような検索キーワードによってわたしのページは釣り上げられているのか、というところが気になっていたわけだ。で、サーバソフトであるApacheの機能の中に、どのリンクをたどって来たか、という項目をオプションでロギングできることに気が付いて、www.bunny.co.jpの方でしばらく記録を取ってみた。そのログの表示しているのは、リンク元ページのURLなのであるが、検索サーバの検索結果がリンク元ページの場合、そのURLには検索を行ったキーワードが同時に記録される仕組になっているのだ、面白いことに。少々面倒だがログから自分のページのデータを抜き出して、ASCIIデコードしてさらに漢字コードを変換すると日本語キーワードも読めるようになった。

→1997年12月にわたしのページを釣り上げた検索キーワード

本人にしてみると思わず苦笑させられてしまうようなキーワードが並んでいるのだが、自分のページの抱え込んでいる情報の傾向、つまりは自分の頭の中がどのように「傾いて」いるかという事実を思わず突きつけられたような感じもして、ちょっと恐ろしい。それにしてもこれは大当りだな、と思わせるキーワードがある一方で、明らかに気の毒なキーワードもある。魚を釣ろうとしたのにゴム長靴や空き缶を釣り上げてしまったようなものであろう。世の中、廃墟趣味の人が結構いるのはわかるけど、「乱数放送」で検索する人が複数いるのはどうにも不思議な感じがするのであった。



1998/1/3

●藤幡正樹さんの「カラー・アズ・ア・コンセプト」を読む。RGBという光の三原色によって色を再現するようになって、色の物質性とそれにまとわりつく価値(絵具は色、すなわち原料によって値段が違う、といったような)が事実上、消滅し平板化してしまった、というのは決して新しい認識ではない。しかし、その事態の重大さをこれほど声高に、例証を挙げつつ丹念に指摘した人は今までいなかったように思う。CRTにおける色彩再現に対して、われわれはこれまで、あまりにも悲観的ではなかったか。モニタの個体差で色が変わってしまう、という現象に対して、冷笑的でなかったか。藤幡さんは繰り返し主張している。「それぞれの色そのものよりも、色同士の関係性の方が大事である」。これだけを抜き出すと開き直りのようにも聞こえかねないこのテーゼは、デジタル環境で視覚情報を扱っていく人間にとって指標となるような、実は大変に強力な一言であると思う。今はとにかく先に進んでみるしかないことを思い知る。



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