2 トルコ共和国でグルジア共和国を想う



Turky-Georgia 1



 2年前にはバスで入ったその港町に、今度は飛行機で降り立った。

 黒海の波打ち際の飛行場では、プロペラ機がうなりを上げて飛び立とうとしていた。アントノフ24だ。その機体はアエロフロートの文字が消され、その上からウクライナ語が書かれていた。黒いビニール袋いっぱいの荷物をかかえた人々でごったがえす飛行場を後にして、街に入る。ところどころに闇市が立ち、商店の看板にはしばしばロシア文字が、時折グルジア文字も見える。ホテルのレストランでは、スターリンに似た顔立の男たちが、トルコ人と商談をしているのを見かけたりする。

 グルジア国境から180km離れたこの街は、2年前とは明らかに性質の違う、少し押し殺したような活気の中にあった。境界線の向こう側からやって来た人々の姿が増えているのが、はっきり感じられる。この境界線だけは、いつか必ず越えてやろうと思う。

(1994年)



Turky-Georgia 2



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